SB vs BB対決
これはポーカーでよくあるシチュエーションの一つですし、GTOチャートにはミックス戦略が多く含まれており、理解しづらいと感じる方も多いでしょう。
今回の記事ではSBの戦略を大幅に話して、さらにありがちなミスや考えられるエクスプロイトをいくつかリストアップしたいと思います。
SB戦略

チャートにミックスのハンドがたくさん入っていて、ぱっと見わかりづらいと思いますが、 基本的な戦略は次の通りです:
- 強いバリューハンドと弱いトラッシュハンドはレイズ
- 真ん中辺りのハンドはリンプ
- この中にリンプ&BBからのレイズにコール(リンプコール)とリンプフォールドのハンドが入っています
特に難しいのは、上記の定義です。
エフェクティブスタックの深さによってどこまでレイズするバリューハンドとリンプコールするハンドや弱いトラッシュハンドとリンプフォールドするハンドの区別がつきにくいです。
例えば、上記のチャートは40BBエフェクティブスタックのSB戦略ですが、なぜJ3oはリンプフォールドで、J3sはレイズなのかがわかりづらいと思います。
人間にはすべてを完璧に覚えるのは難しいですが、僕の考え方を簡単にまとめてみました。
- ポストフロップに行く可能性によって使われるハンドが変わります
- エフェクティブスタックが深いとレイズしてもポストフロップに行くことが多いので、ハンドのプレイアビリティが大事になってきて、スーテッドのハンドがブラフレイズとして使われます。
- 一方、浅いスタックだとプリフロップだけの戦いになることが多くて、プレイアビリティよりもブロッカーが大事になります。
- レイズまたはリンプすることで相手のレンジへの影響、特にドミネートしている・されているハンド周り
- 相手のハンドをドミネートしている場合は降ろさないで、ポストフロップに持っていきたい
- ドミネートされている場合は可能であればプリフロップで降ろしたい。レイズしても降りないならレイズしない
- 例えば、T3sをレイズして、T3o~T6oを降ろしたい。しかしK2oをレイズしてもK5oなどが降りないならレイズしない。
ありがちなミス
僕がコーチングしている中でSB vs BBでよく見るミスをいくつか出してみます。
SBからのVPIPが低い
SBからリンプやレイズせずにフォールドする%が高いプレイヤーが多いです。
スタック | SB VPIP % |
---|---|
100BB | 88% |
80BB | 86% |
60BB | 85% |
40BB | 82% |
30BB | 82% |
20BB | 84% |
10BB | 79% |
上記のデータはGTO WizardのChip Evから出しているのですが、実際にプレイヤーのデータベースを見るとSBのVPIPが65-70%の方も多くいます。
本来フォールドするべきじゃないハンドをSBで100回フォールドしてしまうと50BB以上の損失になってしまうので、ポストフロップがどのぐらい上手くてもこの損失を中々リカバーするのは難しいです。
SBからの3ベット
ハンドまたはエフェクティブスタックによってプレイアビリティの低いハンドをレイズよりもリンプ3ベットやリンプオールインに回した方が良いです。
例えば、20BBや30BBの深さで22をレイズすると、ポストフロップでOOPで必要以上に膨らんだポットをプレイしないといけなくなります。
一方、22をリンプに回したら、チェックバックされた際にポットが小さいのでそこまで困りません。レイズされた際にオールインして本来フリップだったはずのツーオーバーの多数のコンボを降ろせます。
エクスプロイト
GTO戦略は、ゲーム理論で学ぶナッシュ均衡をベースに考えられた戦略です。
ナッシュ均衡の特徴は、相手はどんなプレイをしたとしても、こちらの戦略に勝つがことができない所です。
例えばじゃんけんでは、グー・パー・チョキをそれぞれ33%ずつ出す戦略を取れば、相手はこちらに勝ち越すことはできません。
しかしノーリミットホールデムのような複雑なゲームだと完璧な戦略を理解して使えるようになるのは人間には無理です。
どのプレイヤーでもどうしてもプレイに偏りが出ます。
相手の偏りに特化した戦略を組むと、GTOよりも利益が出ます。
ただし、その偏りに特化した戦略自体も偏っているので、相手にそのうちばれて逆にエクスプロイトされる可能性があります。 現在有効なエクスプロイト戦略も、いずれ通用しなくなる可能性があります。
最大の利益を出すには、常に相手のプレイを分析し、リークを見つけ出して、そのリークを上手くエクスプロイトする戦略を考え続けないといけません。
エクスプロイトの例
40BB ブラインド対決 SB戦略

そしてSBがリンプした時にBBのレスポンス

SBがKTo, QTo, JToのハンドを高頻度でリンプします。
そしてそれに対してBBがK2o, Q2o, J3o, T4oなどをレイズします。
SBはこのレイズにリンプコールすることで、自分がドミネートしているハンドとポストフロップで対決する展開になります。
しかしリンプに対してT4oをレイズしてくれないプレイヤーが多いです。
そしてSBからのレイズに対してT8oなどを降りないケースも多いです。
そういうプレイヤーに対してSBからKTo, QTo, JToなどをレイズした方が利益的だと思います。
注意点:
このエクスプロイトは今の所ワークしますが、SBがレイズし過ぎていることがばれたら、BBがカウンターエクスプロイトとしてSBレイズに対してブラフ3ベットを増やすと思います。