なぜフロップでAが落ちることが多いのか
KK、QQなどのような強いペアでレイズした時に、なぜかよくフロップでAが来ると思っているプレイヤーが多いと思います。
バッドビート話に聞こえるのですが、実際はそうではありません。
フロップをハイカードベースで分けたとしたら、最も多いのはAハイボードです。
フロップのハイカード | 頻度 |
---|---|
A | 21.7% |
K | 18.3% |
Q | 15.2% |
J | 12.4% |
T | 9.9% |
9 | 7.6% |
8 | 5.7% |
7 | 4% |
6 | 2.6% |
5 | 1.5% |
4 | 0.7% |
3 | 0.2% |
2 | 0% |
プリフロレイズしてコールされた際に、5回に1回フロップでAハイボードが出てきます。
ベットの頻度やサイズについて詳しく見ていきましょう。
今回インポジションプレイヤーがレイズして、BBがコールしたケースをGTO Wizardのレポート機能を使って調べてみました。
同じように違うポジションやボードも調べることができますので、興味のある方は自分でやってみてください。
ベットの頻度
インポジションのレンジのAx割合がBBのディフェンドレンジのAx割合より大きいので、インポジがそのレンジアドバンテージを使ってベットすることが多いです。
AハイボードでのBBからのリードがほぼなくて、インポジからのベットの頻度が90%近くあります。
30BBエフェクティブで各ポジションからのベットの頻度を調べてみました。
ポジション | ベットの頻度 |
---|---|
UTG vs BB | 94.6% |
UTG+1 vs BB | 92.3% |
LJ vs BB | 93.3% |
HJ vs BB | 93.7% |
CO vs BB | 95% |
BTN vs BB | 98.4% |
- 各ポジションからのベット頻度が高いですが、一番強いオープンレンジ(UTG)が一番高くて、一番弱いオープンレンジ(BTN)が一番低いわけではありません。
なぜかというと、インポジのポジションがあとになればなるほど、オープンのレンジが狭くなりますが、BBのディフェンドレンジが逆に広くなってさらに弱くなります。
なので、Aハイボードがインポジにとってさらに良くなります。 - エフェクティブスタックをもう少し深くすると戦略がより複雑になってベット頻度が下がりますが、それでも80-90%近くあります。
BTN vs BBでチェックバックの多いボードも念のために調べてみました。
実際の戦略を一つずつ見ると、ベットとチェックバックをミックスしている部分が多いです。
ピュアチェックに回っている部分、ショーダウンバリューがあって、とくに守らなくても良くて、現状バリューターゲットのないハンドが多いです。
例えば、A55フロップでのKK
ベットサイズ
ポーカーでバランスのある戦略を作るためによくベットするフロップだとベットサイズが小さくなって、一方ベット頻度の低いフロップでベットサイズが大きくなります。
ソルバーは各ハンドをさらにミックスしてより複雑な戦略を作りますが、人間が現実的にプレイするならその戦略をより簡略化する必要があります。
なので、Aハイボードは基本的に小さいベットサイズを使うはずですが、実際レポート機能を使って調べてみましょう。
エフェクティブスタックが小さければ小さいほど大きいベットサイズが使われなくなるため、今回は40BBのエフェクティブスタックで調べてみました。
ポジション | B20 | B33 | B55 | B83 | B125 |
---|---|---|---|---|---|
UTG vs BB | 26.8% | 20.9% | 19% | 15.6% | 4.4% |
UTG+1 vs BB | 29% | 19.3% | 15.9% | 13.8% | 4.7% |
LJ vs BB | 33.4% | 19% | 15.7% | 13.8% | 3.1% |
HJ vs BB | 35.2% | 20.4% | 15.2% | 12.7% | 3.5% |
CO vs BB | 36.2% | 24.6% | 15.7% | 10.9% | 3.6% |
BTN vs BB | 41.2% | 26.2% | 13.9% | 9% | 4% |
※B20はポットの20%をベットという意味です。
アーリポジションの方はレイトより大きいベットサイズが多くなりますが、全体的に小さいベットサイズ(B20, B33)が多く使われています。
例としてA94ボードでBTNが20%ベットした時のBBのレスポンスを見てみましょう。
ポットの20%打って、レンジのほぼ半分を降ろせます。
さらに人間に対してプレイすると、上のチャートの65s, 32sのようなレイズもされなさそうだし、KQsやKJsのフロートをしない人も多いです。
なので、オンラインでは最近20-40BBの深さでエクスプロイトとしてAハイボードで1BBベットすることが多いです。
特にオーバーフォールドしたり、ブラフレイズを十分しない相手なら、非常に良いエクスプロイトだと思います。
まとめ
ライブポーカーは考える時間がたくさんありますが、オンラインでは複数のテーブルをプレイすることが多いため、EVを損なわずに戦略を簡略化することは非常に大事です。
このように、Aハイフロップでシンプルにベット頻度を増やして、ベットサイズを小さく(場合によって最小ベットサイズの1BB)するのは望ましいと思います。
ターンまで進んだ場合、相手のレンジを再度考えて、
- より弱いAから大きくバリューを取りに行くのか、
- ミドルペアから小さめのバリューを取るのか、
- チェックバックしてリバーでブラフキャッチするのか、
- そもそも諦めるのか
を時間をかけて考えましょう。