PKOとバニラトナメの違い
ここ最近GGポーカーの次のバウンティシリーズに向けてPKOトーナメントを勉強しているので普通のトーナメントとの違いなどをまとめてみようと思いました。
バニラトーナメント = つまり普通のトーナメント。
レーキ以外のバイインがすべて賞金に入って、上位12% ~15%のプレイヤーがインマネして、その賞金を分ける感じになります。
1位は大体総賞金の15% ~ 20%をもらいます。
例:100人参加の109ドルのトナメ。
レーキ9ドル、賞金=100 x 100 = 10,000ドル。
上位15人がインマネして、1位は1,500 ~ 2,000ドルぐらいになります。
PKO (Progressive Knockout)トーナメント = レーキ以外のお金がバウンティと賞金に分かれます。
インマネ率などはバニラと同じですが、インマネしなくても他のプレイヤーを飛ばすとそのプレイヤーのバウンティをもらえます。
プレイヤーを飛ばせば飛ばすほど自分のバウンティも増えて、最終的に1位になったら自分に付いているバウンティももらえます。
例:100人参加の109ドルのトナメ。
レーキ9ドル、残り100ドルのうち50ドルが賞金で、50ドルはプログレッシブバウンティ。
トーナメントスタート時に各プレイヤーのバウンティが 50 / 2 = 25ドルで、
プレイヤーを飛ばすとその25ドルもらえて、
更に自分のバウンティに飛ばしたプレイヤーのバウンティの半分が付きます。
つまりトーナメントスタート時にAさんがBさんを飛ばすと、
Aさんがその場25ドルもらえて、
さらにAさんのバウンティが 25 + 25/2 = 37.5ドルになります。
今度CさんがAさんを飛ばすと、
Cさんがその場で37.5ドルもらえて、
さらにCさんのバウンティに 37.5 / 2 = 18.75ドルが追加されます。
PKOトナメのバウンティが細かくなりがちでライブであまり見ないフォーマットですが、オンラインでは人気度が非常に高いです。
これからこの二つのフォーマットの主な違いについていくつかリストアップしようと思います。
バウンティの価値
ポットでエクイティなどを計算するため、バウンティが勝ちをチップで計る必要があります。
PKOではトーナメントのステージによってバウンティの価値が変わります。
残りフィールド | バウンティの価値 (スターティングスタックの%) |
---|---|
100% | 25% |
75% | 26.7% |
50% | 29% |
25% | 32.5% |
5% | 38% |
ヘッズアップ | 50% |
上記の109ドルトナメの例でスターティングスタックが10,000点としましょう。
スタート時の25ドルバウンティの価値が 10,000 x 25% = 2,500点になります。
1ハンド目で一人飛ばすと、自分のバウンティが37.5ドルに増えます。
そしてその価値が 10,000 x 25% x 1.5 = 3,750点になります。
同じ25ドルバウンティの価値がフィールドが残り50%になった際に 10,000 x 29% = 2,900点になります。
エクイティを計算する際にカバーしているならバウンティの価値も含めて計算しないといけません。
例えばトーナメントスタート時に
10,000点のオールインが飛んできた際にコールして勝ったら
10,000 + 2,500 = 12,500を勝つことになります。
普通のトナメなら10,000のオールインにコールするために50%のエクイティが必要ですが、
PKOだと 10,000 / (10,000 + 10,000 + 2500) = 44%
(ここでは計算をしやすくするために一旦SB、BBやアンティなどを省いています)
レンジ
PKOとバニラのレンジは大きく違うことが多いです。
PKOではカバーしているかどうかで状況が全く違います。
相手にカバーされている場合最大でダブルアップしかできませんが、相手をカバーしている場合相手のバウンティももらえます。
つまりカバーしている場合もう少し広くオープンやディフェンドしないといけません。
一方、カバーされている場合広くコールされるのを考慮した上でレンジ構築をしないといけません。
バニラとPKOでレンジが違う例をいくつか出してみましょう。
- アーリーポジションからオープンしているプレイヤーをカバーしている場合、レイトポジションでバニラでは降りるスートの弱いハンドでもフラットしましょう(T7s, Q5s, J8sなど)
- カバーされている場合フォールドエクイティがバニラほどないので気を付けましょう。
バニラでは例えばJTsでオールインしてKJoなどを降ろしたりしますが、PKOでは降りないことが多いのでJTsよりもA7oなどのオールインが良いです。 - もちろんバウンティの価値やオールインの額によりますが、マルチウェイのオールインにスートコネクターでコールしても良い時があります。
バウンティの価値が毎回違うのでPKOのレンジを一律に出すことは難しいですが、傾向を覚えるしかないと思います。
あと、気になったハンドがあればメモして、後からHRCなどのツールでバウンティを入れて計算するのもいいですね。
レイト
バニラトナメはレイトで入ると+EVだったりします。
レイトで入るとスタックは平均より少ないですが、すでに飛んでいるプレイヤーがいます。
それにも関わらず賞金は変わらないです。
インマネするために上位15%に入らないといけませんが、レイトで入った瞬間にもう上位40% ~ 50%ぐらいに入っていることがあります。
一方PKOはレイトで入るのはダメです。
なぜかというと、プライズの一部(バウンティ)がすでに配られているからです。
スタックも少ないし、他のプレイヤーをカバーもしていないし、さらに賞金が一部減っている…
何一つもいいことがないのでやめましょう。
ICM
PKOトナメはバニラよりだいぶトップヘビーになります。
なぜかというと、1位になったプレイヤーが自分のバウンティももらえるからです。
なのでPKOはICMのプレッシャーが比較的に低いです。
バニラだとあまりリスクせずにペイジャンプするのが基本的にベストですが、
PKOだと逆にリスクをとって大きいスタックになったり、他のプレイヤーのバウンティを取れたり、最終的に1位になったりするのが良いです。
PKOでは1位の賞金が2位の2倍以上になることがよくあります。
分散
PKOは分散の高いフォーマットです。
カバーしている際に弱いハンドで入ったりすることが多いです。
何回かオールインに負けて大きいスタックからショートになることもあれば、逆にショートからいきなりチップリーダーになることもあります。
自分も含めてバニラをたくさんやっているプレイヤーだとバウンティでも固くなったり、無意識に分散を下げようとしてしまいます。
PKOは元から分散の高いトナメなので、その特徴をいかしてプレイしましょう。
最後に
この記事ではPKOの例を出したり、バウンティの価値を計算したりしましたが、すべてが50%PKOの例になります。
つまりバイインの50%が賞金になって、50%がバウンティになる仕組みです。
珍しいですが、70% ~75%PKO(ビッグバウンティ)も存在します。
100ドルのうち25ドルが賞金、75ドルがバウンティ。
そうすると、ICMのプレッシャーがさらに低くなったり、カバーしている場合のレンジがさらに広くなったりします。